この記事は、アメリカ・カトリック大学の図書館情報学修士=MSLIS(Master of Science in Library and Information Science)修了生が在学中に体験したことをhlsに投稿したものの日本語訳です。
許可を得て翻訳に、加筆・編集を加えています。
「レファレンスカウンター」は、図書館のもっとも重要な業務のひとつですが、一方で、図書館情報学という分野を学ぶまでその奥深さや難しさ、専門性について知る機会がないものでもあります。
この投稿は、図書館学を学んだ時の新鮮な気持ちを思い出させてくれます。
図書館の「レファレンスサービス」とは
レファレンスサービス:
図書館の利用者からの質問に対し、役立つ情報を提供する参考調査、参考業務。
英語ではその業務を担当する職員を「reference librarian」というが、日本では、図書館によって「レファレンス担当」や、「レファレンスカウンター」といい、その専門職に対する定訳がない。
この記事では、おもに「レファレンス担当」という表現を使っています。
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図書館のレファレンス担当は、図書館内の仕事のあらゆる分野に深く関わっています。
システム、アクセスサービスなどの技術的なこと、アーカイブ、児童サービスのいずれに焦点を絞っていたとしても、利用者からの質問に答える場面に遭遇する可能性は非常に高いです。
わたしたちは、すべての情報を完全に把握することはできませんが、図書館のレファレンス担当者は少なくとも、どこでそれを見つけるべきかを知っている必要があります。
今学期、わたしの授業のひとつに、レファレンス集中コースがありました。
わたしたちがこのコースで行った課題のひとつは、その役割の本質や過程を洞察するために実際に図書館のレファレンスへ潜入調査を行うことでした。
流動性があり、公共サービスという強いバックグラウンドのあるこの仕事について、わたしはそんなに気を揉むことはないだろうと考えていました。
しかしながらわたしは、期待以上のものを自分自身が学んでいることに気がつきました。
わたしがレファレンスカウンターへの潜入調査で学んだ3つのことをシェアします。
教訓1:資料媒体の移行について
電子ジャーナルへの移行は、本当に、実際に起こっている!!
わたしは、バージニア州アーリントンにある小さな私立の教育機関であるメリーマウント大学図書館のレファレンスデスクに潜入調査することにしました。
わたしが到着したまさにそのとき、レファレンス担当の図書館員は、教員が電子ジャーナルにアクセスするのを手伝っていました。
特にメリーマウントのコミュニティは、ほぼすべての分野で電子媒体の受け入れに積極的です。
彼らは、もっと多くの共同スペースを作るために、データベース、教科書をlibguides*に統合し、参考文献のコレクションのかなりの部分を物理的に削除することを計画しています。
*メリーマウント大学が使用する、電子ジャーナルなどにアクセスするためのハブサイト
学術図書館では特に、携帯性と学外からのアクセスへの利便性を図るために、電子ジャーナルがより推奨されるよう話し合いが持たれます。
個人的にはこれまで、レファレンス担当の業務に直接影響を与えるほど電子ジャーナルが完全に統合されているのをみたことがありませんでした。
しかしメリーマウントの図書館員は、本を見つけるために利用者と一緒に本棚を探索する代わりに、学生と教員をデータベースに導き、質問に答えるためのリソースとしてlibguidesがほぼ独占しています。
それは、わたしが最後に学術図書館で働いた4年前のことでしたが、それでも電子ジャーナルは紙媒体の本に次いで役立つものでした。この点において、メリーマウントはその業界内で進んでいるのかもしれません。
教訓2:デスク以外の仕事
レファレンス担当の役割はレファレンスデスクで起こっているわけではない!
メリーマウントのレファレンスにおいて、もうひとつのわたしを驚かせた側面は、図書館員が学生と過ごす時間の長さです。
図書館は、研究に役立つデータベースやlibguidesについて学生に教えるために、それぞれの学部ごとに、特定のクラス、特に入門講座やセミナー講座として頻繁に学生に教授する機会を作っています。
わたしにとってこのことは、図書館員としての夢のシナリオのように思えました。
学生がそれらを必要とするときに彼らが自分で見つけて利用できるように、提供する資源をたくさんの学生に紹介できるようにしたいものです。
教訓3:窓口に立つ責任
あなたがレファレンスデスクに座っているなら、利用者はあなたのことを”知っている人”とみている!
わたしがレファレンスに潜入調査しているときに、こんなことがありました。
ログインの問題だったか印刷のトラブルだったか、質問に来た学生を図書館員が手伝っているとき、わたしはひとりでレファレンスデスクにいました。
わたしは自分のやっていることを熱心にメモしていたのですが、そのとき何人かの学生がわたしに質問していることにふと気がつきました。
ひとつは、ハサミを借りていいか?ということで、いくつかの引き出しを探し、喜んでそれを貸し出しました。
それ以外の質問については、わたしは実はここで働いていないのだとぎこちなく説明するしかありませんでした。
わたしがあのデスクに座ったことによって、生徒たちが暗黙のうちにわたしを信頼してくれたことに心からに驚きました。
利用者が情報にアクセスするための窓口となることは、実に大きな責任です。
これまでわたしはこの司書の役割をもっと気軽なものだと考えていましたが、今ではそれをもっとよく理解し、尊重しています。
さいごに
この記事は、アメリカ・カトリック大学の図書館情報学修士=MSLIS(Master of Science in Library and Information Science)修了生が在学中に体験したことをhlsに投稿したものの日本語訳です。
許可を得て翻訳に、加筆・編集を加えています。
「レファレンスカウンター」は、図書館のもっとも重要な業務のひとつですが、一方で、図書館学を学ぶまでその奥深さや難しさ、専門性について知る機会がないものでもあります。
この投稿は、図書館学を学んだ時の新鮮な気持ちを思い出させてくれます。
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