梅雨が明け、毎日ジメジメとした暑い日が続きますね。
そんなとき「そうだ、図書館で勉強しよう!」と思って図書館を訪れたけど、「思ったほど涼しくない」と感じたことがあるかもしれません。
図書館が涼しくないのには、何か理由があるのでしょうか。
また、図書館で読書しようと思ったのに暑くて集中できない場合はどうしたらいいのでしょうか。
図書館が涼しくない理由
国や自治体が運営する図書館が涼しくない(正確には涼し過ぎない)説はいろいろあります。
冷房を利かせ過ぎる必要がない
最近は、駅地下、ファミレス、病院など、どこにいっても羽織るものが必要なほど冷房が効いています。
飲食店や書店のような客商売のお店などは、暑い日にクーラーを強めにかけることで客寄せをすることができます。
また、食品を扱うスーパーなどは、食品の鮮度を保つために必要以上に温度設定を低くしています。
これは日本の話ではありませんが、香港やシンガポールのお店(飲食・小売・デパートなど)は、クーラーがガンガン効いていることは、イコール儲かっているお店というアピールになるようです。
しかし、図書館はそもそも客寄せをする必要がなく、守るべき「本」さえも食品のような生ものではないので、必要以上に冷房を利かせる必要がありません。
また、逆に、この「寒いほどガンガンに利いたクーラー」に私たちの体が慣れてしまっているだけかもしれませんよ。
避暑地として人が集まるのを避けるため
公共図書館は、ホームレスやそれに近い人の溜まり場になることがあります。
そのため、あまり快適にし過ぎると、よりそういった人達の溜まり場になるため、夏も設定温度を高めにしてる
という説もあります。
また、同じようにな理由で、椅子や机を快適すぎない(むしろ逆に居心地の悪い)ものを置いている図書館もあると聞いたことがあります。
しかし、これは決定的な理由とは思えません。
税金で運営される公共施設だから
図書館だけではなく、公共施設や市役所など、自治体が運営する施設はすべて同じ設定になっているそうです。
ほとんどの場合、夏場は室温28度設定です。
市役所で冷房がガンガン利いているような環境で公務員が仕事をしていると、
「われわれの税金で電気代を気にせず、涼しいところで仕事が出来ていいですね。」
と言われることがあるそうです。
公共施設は税金で運営されているので、市民の視線は厳しいものがあります。
市役所も図書館も、そこで働く公務員がいますが、働く人に快適な環境を与えてはならず、利用者にはそれ(快適な環境)を与えろというのはおかしな話ですね。(そもそも、窓口に立っている職員は公務員ではなく非正規雇用である可能も高いです。)
いずれにしてもそういう話があると言うだけで、決して市民の視線を気にして冷房の温度設定をしているわけではないでしょう。
人の快適さよりも本の管理を重視
図書館が涼し過ぎないのは、人のためではなく「本のために」空調しているからという視点もあるようですが、本のためであれば、湿気は大敵なので、むしろもう少し温度を下げると思われます。
また、先ほども書きましたが、公共の施設がすべて同じ設定にされていることを考えると、「本のため」であれば、図書館だけは異なる設定になるはずです。
環境省の推奨温度に従っている
先ほど書いたとおり、自治体や図書館で多少の違いはあると考えられますが、たいていの所は、28度設定のところが多いです。
そしてこれは、環境省の推奨する室温で、それに自治体が従っていると考えられます。
冷暖房に関しては「適温」の感覚が人によって大きく異なるので「28度」というように数字で決めてしまっているそうです。
そしてこれは、「冷房の設定温度」ではなく「室内温度」です。
冷房を28度に設定しているのではなく、室温を28度に保っていると考えてください。
公共図書館には、見える場所に温度計を設置している所もあるので、試しに探してみてはいかがでしょうか。
実体験 冷房に関するクレーム
図書館で勤務していて冷房に関するクレームを受けたことはほとんどありませんが、1度だけそれを体験したことがあります。
東日本大震災の発生後です。
このとき、都内の大学図書館で勤務していましたが、東京では節電計画があり図書館ももちろんこれを実施しました。
そのときはじめて、在学する学生の親から冷房についてのクレームがありました。
「大学に高い学費を支払っているのに、快適な学習環境を提供しないのはどうなのか。」
といった内容だったと記憶しています。
普段であれば、その言い分は十分理解できます。
しかし、わたしたちはあの日、1000年に1度と言われる未曾有の大災害を経験しているのです。
しかも福島第一原発はご存知の通り、東京電力が運営するもので、東京の人がこれまで恩恵を授かってきた電力です。
そこの電力をほとんど使っていない福島の人が避難生活を強いられている状況を想像すらできず、その中で「快適な学習環境」を要求されることに、クレーム云々より、人として、心の底から悲しくなりました。
そして、この体験は特別なものではありません。
環境省からの通達ということからも分かるように、図書館の室温設定は、環境のためなのです。
クールビズと同じですね。
まとめ
夏なのに図書館が涼しくない? 読書に集中できない場合の対処法
いかがでしたか?
図書館が涼しくないのは、経費削減でも、本の管理のためでも、溜まり場になることを避けるためでもありません。
国が運営する施設が、国の環境に配慮することは至極当然のことです。
逆に、それに配慮することなく過剰に冷房を利かせていたら、環境に配慮しないような国にわたしたちは暮らしているのだと思った方がいいでしょう。
図書館が暑過ぎて読書に集中できないなら、その対処法はただひとつ、
本を借りてその場から立ち去り、それを提供してくれる場所(ファミレスなど)で読書をすることです。
それが、図書館のためにも、環境のためにも、あなたのためにもいいことです。
ちなみに、室内設定温度を低く設定していないため、熱中症対策として飲み物の持ち込みを許可している図書館もあります。
期間を設けている図書館や、飲み物に条件(蓋つきであるなど)がある図書館もあるので確認してみてください。
最近ではほとんどの図書館が、年間を通じて蓋つきの飲み物(ペットボトルや水筒)の持ち込みを許可しています。
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