北区立中央図書館 兵器工場が甦る…陸軍の栄華を物語る赤レンガ図書館




「東京都」は戦争中の1943年、東京市と東京府が合併し誕生した都市です。

 

さらに戦後、1947年に王子区と滝野川区が合併して東京都の北区が誕生します。

 

それまで、東京都には35の区がありましたが、それでは多すぎるため23区が誕生したのです。

 

王子区も滝野川区も新しい区の名前に自らの名前を残したいということでお互いに譲らず、新しく「北区」と名付けました。

 

 

現在では、東京都北区といえば「赤羽」の印象が強いかもしれません。

 

時代の変化に適応し、チェーン店などを積極的に取り入れ、郊外のターミナルを目指してきた地域です。

 

そのため、いつも賑やかな印象があり、区内随一の繁華街となっています。

 

 

一方、昭和の面影を残し、変化することを拒否し続けるのが十条エリアです。

十条は北区の中でも広い範囲を占めますが、東西南北で風景が変わるのも特徴です。

 

南側の十条台は、その敷地のほとんどが陸上自衛隊の駐屯地といくつかの大学の敷地ですが、郊外そのものを印象づける地域でもあります。

 

それは、北区中央公園があり、昼下がりから夕方にかけて多くの親子連れ、高齢の夫婦やグループが集うスポットとなっているからです。

 

 

その中央公園の中に、東京北区立中央図書館があります。

 

戦前の陸軍の赤レンガ倉庫を改装・増築した建物は、「赤レンガ図書館」の愛称で地域住民に親しまれています。

 

 

 

北区はかつて、軍関係の兵舎や工廠(こうしょう)が盛んに設立され、23区のなかでも最大の軍事施設を保有するという特異な発展をした地域です。

 

現在の図書館である堅牢な建物は、1919年に十条駐屯地275棟として建築されたもので、廃墟マニアの間ではもともと有名でしたが、2008年に北区王子から移転し、図書館として生まれ変わったのです。

 

大正8年と平成の建築の融合は、2009年にグッドデザイン賞、2011年に日本図書館協会建築賞を受賞しました。

 

筆者撮影

 

公園に面したもっとも見晴らしのよい場所がテラス席ですが、ここは図書館に併設されているカフェのテラス席となります。

 

 

かつての建物をそのまま残している部分がこのカフェとなっています。

 

北区立中央図書館併設のカフェ(筆者撮影)

 

 

図書館の内部ももちろん、壁面の意匠などにその面影を感じることが出来ます。

 

筆者撮影

 

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筆者撮影

 

この図書館の一番の特徴は、建築自体を郷土資料のひとつとして残していることです。

 

図書館がもつ「保存・展示」の役割を、文化財として価値のあるレンガ倉庫で果たし、建物ごと保存活用しようという意図です。

 

筆者撮影

 

 

歴史の知恵を未来に生かす北区中央図書館、通称・赤レンガ図書館

 

その歴史は、東京都北区の史実であり、かけがえのない財産なのです。

 

北区立中央図書館

開館時間:9〜20時(日・祝は〜17時)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)
Wi-Fi:なし
パソコン貸出、インターネット利用のできる設置パソコンの有無:なし
カフェ、レストランなど飲食スペース:あり

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