香港に来ています。
香港は、東京や台北、上海などほかのアジアの大都市と比べても、群を抜いて国際的。
いろんな国の人が、観光ではなくそこで生活していることが感じられるコスモポリタンな雰囲気で、たまに強烈に行きたい気持ちにさせられます。
九龍サイドと香港島どちらの市街地も、香港国際空港から直結で行けるので、5時間飛行機に乗ればあとは自由に動きまわれるのも嬉しい。

今回宿泊したのは香港サイドの中環(セントラル)。

中環は、香港島の北側に位置するビジネス街で、超高層ビルと歴史的建造物が混在している不思議な街です。
香港駅から直結しており、そのまま中環駅に出ることができるので乗り換えも不要です。

中環で人気「九記牛腩」の牛バラ麺
ここから地下鉄で3駅先にある香港中央図書館に出かけました。
観光地にある香港中央図書館へ
香港中央図書館は、銅鑼湾(トンローワン)と、もうひと駅先の天后(ティンハウ)との間にあるので、銅鑼湾からは徒歩で10分はかかります。
ぎりぎり徒歩圏内というところでしょうか。
英語名で「コーズウェイベイ」と呼ばれるこの大都市は、日系のデパートやワールドトレードセンターがある観光地。

ここを歩いていると、こんなに大きな建物がひしめき合っている場所に、いったいどのように図書館があるのか、と思うけど、図書館の正面にはビクトリアパークがあり、街の喧騒とは少し離れています。
(あの有名な「ビクトリア・ピーク」とは異なるのでご注意ください。)

今すぐ香港に行きたくなる作品6選
香港中央図書館については、こちら「香港中央図書館 中国と西洋文化の共存に尽力する香港文化新時代の象徴」。
銅鑼湾駅から図書館に向かって歩きながら、思えば、わたしが香港に夢中になったのは、すべては映画だなぁと思いました。
そこで、「香港に行きたい気持ちにさせられる作品」を香港中央図書館で考えて書いてみました。
今すぐ香港に行きたくなる映画
『慕情』(1950年/アメリカ)
舞台は1949年、英国領だった頃の香港です。
香港の街の空撮から物語ははじまります。
香港という東洋の国の中で、英語を話す米国人記者と英国人(半分)女医の恋愛を描いた作品は、はじめてみたときから強い印象を与えられたけど、このエキゾチックな感じは、そういえば香港の街そのものだなぁと思います。
作中、2人が愛を育んだハン・スーインが勤務する病院裏にある丘は、香港随一の観光名所でもある「ヴィクトリアピーク」。
美しいリゾート地「淺水灣」(レパルスベイ)も、『慕情』の世界です。
『スージー・ウォンの世界』(1960年/アメリカ)
温かい心と愛に満ちた、それでいてとても切ない物語。
ストーリーは、香港の最貧困層で展開します。
画家になり、新境地をひらこうと香港に来たアメリカ人建築家のロバートが、九龍半島から香港島に向かうフェリーの中で、美しい中国娘ミー・リンと出会います。
彼女は貴族の出自だと偽っていますが、スージー・ウォンと名乗る売春婦で、教育を受けておらず家族もない、世話をする高齢の女性を除いて、誰も知らない子どもがいます。
ロバートはスージー・ウォンに惹かれるも、売春婦として生きる彼女の人生を扱いきれません。
資金難のロバートが選んだ安宿がある場所、そして、スージー・ウォンが売春婦として働く場所は湾仔(ワンチャイ)。
湾仔は、トラムを中心に広がる香港島の繁華街で、今では、新旧香港の名所がたくさんあります。

劇中では上環にある設定の、架空の南閣大酒店(Nam Kok Hotel)は、1950年代に実際に香港にあった六國飯店(Luk Kwok Hotel)をモデルにしています。
『恋する惑星』(1994年/香港)
香港の重慶大厦(チョンキンマンション)を舞台に、2組のカップルをめぐる出会いとすれ違いの恋愛模様を独自の映像センスで描いた作品。
香港の混沌とした日常の姿をみることができるこの作品は、まさに、みると今すぐに香港に行きたくなる作品の代表です。
フランス映画『アメリ』に似た雰囲気ですが、『アメリ』の中に『恋する惑星』のオマージュがあると言われています。
重慶大厦は、ネイザンロードに面して建つ雑居ビルで、安宿やゲストハウスがあり、インド人の客引きが多数いる場所です。
『ラストコーション』(2007年/アメリカ)
日本軍占領下、1942年の上海と香港。
主人公の美しい女性チアチーは、日本軍に協力するイーを探るため、スパイになり”マイ夫人”として近づきます。
国のために、時代の流れに身を投じる若者たちの行動は、自分自身も大切な人の心も傷つけていますが、それも戦争という時代においては誰にも責められず、また、誰を責めることもなく押し流されます。
一方、日本軍に協力する冷酷な態度のイーも、死に接するだけの日々に、誰も信用できない孤独を募らせています。
みんな間違ってるようにみえるけど、誰も悪くない。
重く、救いのない物語で、登場人物一人一人の思いを考えると胸がしめつけられます。
雨の日、イー先生がチアチーを送ったマンションは、重慶大厦(チョンキンマンション)。
チアチーとクァンが通っていた大学は香港大学(香港島西半山薄扶林道 )で、構内の「陸佑堂」がロケに使われています。
イーとチアチーがデートする場所は『慕情』の舞台としても有名なリゾート地の淺水灣(レパルスベイ)。
イー夫人がチアチーとチャイナドレスを買いに出かけたところは、尖沙咀(チムサーチョイ)の広東道。
尖沙咀(チムサーチョイ)は、九龍半島の南端、高級ブティックやホテル、ミュージアム、都市型モールなどがある水辺の観光エリアです。
『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017年/アメリカ)
日本アニメ『攻殻機動隊』をハリウッドが実写化した『ゴースト・イン・ザ・シェル』。
舞台は、「近未来の都市」ですが、近未来都市を、現在の香港の街そのものを使って描いています。
外のシーンを香港の街中で撮影し、街中の風景の一部やビル群をCGでデコレーションし近未来都市に仕立てています。
キリアン少佐とバトーが船に乗っているシーンの背景にみえる高層ビル群はまさに香港島で、香港に何度も足を運んでいる人は、各シーンがどこで撮られたのかわかると思います。

今すぐ香港に行きたくなる小説
沢木耕太郎の人気シリーズ『深夜特急』の最初の舞台が香港です。
インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行くことを思い立った〈私〉は、途中立ち寄った香港の街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居をしてしまいます。
1970年代前半、当時26歳の沢木耕太郎が描いた自身の旅行体験に基づいた小説からは、限りない解放感を満喫する作者の自由が伝わってきます。
あらゆる所に店があり、品物があって人がいる。
そのとてつもない氾濫が、見ている者を興奮させるエネルギーを生む。
そして、その氾濫は貧困は必ずしも忌むべきものではないとを教えてくれた。
まとめ
香港中央図書館でレファレンス!
「今すぐ香港に行きたくなる作品を6選」を書いてみました。
香港の図書館で映画や小説について考えるという、好きな場所で好きなことについて考える幸せな時間でした^^
この6選はだいぶ偏りがあると思います。
特にブルース・リーやジャッキー・チェンが好きな方達にとっては、だいぶ物足りない感じでしょうか。
コメントを残す