図書館の中の人って、みんなどれくらいの給料をもらっているのでしょう?
図書館の正規職員の採用はあまりにも狭き門なので、非正規に限定してみていきましょう。
免責事項:これより先の投稿は、個人の経験と独自の調査によるものです。
われわれの意見は、図書館および図書館の関連機関、図書館員の意見を代表するものではありません。
すべての批判は建設的であることを意味します。
図書館の中の人ってほとんどが非正規って本当?
公共図書館に限りますが、図書館の職員数は1990年度は1万6331人でしたが、2015年度には3万3155人に倍増しています。
この増えた図書館職員の大半は非正規です。
専任職員は1万3097人から1万1448人に減少、非正規職員は2106人から1万9511人と9倍以上に増えています。
そして、今では図書館職員の6割が非正規ということです。
参考記事:「世界トップの教育水準を労働生産性に転換できない日本の課題」文科省『社会教育調査』
しかし、この6割という数字も怪しいです。
指定管理者(図書館流通センターなど)制度を導入する図書館が増えているので、そこから派遣されている図書館員を含めたらもっと多いのではと思います。
そういうわけで、多くの司書・図書館員が非正規となります。
そして、もし非正規でもいいから図書館で働きたいと思ったら、東京で探すのが現実的です。
それは、日本図書館協会の図書館求人情報を見れば一目瞭然です。
日本図書館協会の求人は原則的に直接雇用であることが掲載条件なので、派遣などを含めると東京の求人数はもっと多いです。
では、図書館で働きたいから上京するというのは現実的なのでしょうか?
図書館で働きたい人は上京?
図書館で働くために上京する場合、知っておくべきことは給与と支出です。
東京の図書館の給与はどのくらいで、生活費はどのくらいかかるのでしょうか。
東京の生活費はどのくらい?
まず、東京で生活するにはどのくらい出費が必要なのかみてみます。
23区内か郊外かで差がありますが、世田谷や目黒などの高級住宅地と八王子や多摩などの23区外を除いた、だいたいの目安です。
家賃…6〜7円
水道、光熱費代…1万
食費…3万円
携帯などの通信費…1万円
雑費や趣味、交際費を除いても最低12万は必要です。
東京の図書館の求人は時給いくら?
2016年12月〜2017年2月の調査(以下は大学図書館の調査でしたが)では、どこも東京都の最低賃金近くに抑えられています。
920円でフルタイム7時間=6,454円
6,454円を20日勤務=129,080円
そこから、社会保険、住民税、所得税が差し引かれると、手取りが9〜10万円となります。
さきほどの、本当のぎりぎりの最低限度の生活すら出来ないことになります。
こうなると、非正規図書館員の給料安すぎ問題以前に、最低賃金に無理がありますね。
このような結果から、「司書になりたいなら、上京」は、全然現実的ではありませんでした。
ということは、独身の人であれば、実家暮らしの人しか対象になりません。
こういった図書館求人は、貧困者を増やしているだけではなくパラサイト・シングルの助長にも関与しているということで、とても残念なことです。
図書館の時給が安い理由
では次に、図書館の時給が安い理由を見てみましょう。
図書館で働きたい人が多い
「ボランティアでもいいから図書館で働いてみたい」という人はとても多いです。
時給900円とかの求人は、本当は誰も応募しない方が良いと思うのですが、実際にはそんな条件でも、精査しなければいけないほどたくさん求人が集まります。
(詳しくは言えませんが、図書館の事務作業で応募者の数を知ることが何回かありますが、毎回、想像を超える数の応募があります。)
公共図書館は国の経済状況に拠るから
公共図書館や国立大学の附属図書館、学校図書室の給与は、当然、国の経済状況に左右されます。
国の経済状況が明るくないことは明白です。
また、雇われる側の視点だと「時給900円って安いな」と思いますが、自分が給与を払っている側だと思うとどうでしょう。
地元の図書館に行ってみると、やることがなくてカウンター前でずっと立ってお喋りしているスタッフがたくさんいます。
もちろんレファレンスや児童サービスなど重要なサービスを担当している職員もいます。
もっと人を減らして、重要なポジションにいる職員(非正規、パート)の給料を増やしてあげるべきだと思いますが、誰でも入館できる公共図書館は、安全に配慮して人員を多めに置いていることも考えられます。
仮に、ふるさと納税で潤っている自治体でも、子育て支援とか、もっと優先順位の高いところに財源を回すので、安くても求人が集まる図書館には永遠に回ってこないと思います。(そもそも東京は「ふるさと納税」ではマイナスを被る側ですね。)
図書館で働くのは絶望的か?
では、図書館で働くのはやめたほうがいいでしょうか。
少し抽象的な話になりますが、図書館で働きたいと思って、
- 司書資格を取ること
- 求人に応募してみること
- 実際に働いてみること
これらは全部、まったく無駄ではありませんよね。
やってみなければわからないことはたくさんあります。
やってみて、待遇や給与面で納得いかないと思えば何か方法を考えれば良いし、仕事内容が思っていたものではなかったのなら、思い切って転職ができます。
やってみなければ失敗も成功もないどころか何も学びがありません。
現状維持のままですが、「現状維持は一番のリスク」とも言いますね。
また、幅広い図書館業務の中から、自分が「コレだ」と思うものを突き詰めたら、他の業務に活かすことが出来るし、「図書館で働いていた」ということが転職活動に活きることがあります。(また改めて書きます。)
安すぎる時給でどうやって生活していけば良いの?
では実際問題、安すぎる給与でどうやって生きていけばよいのでしょうか。
副業で補うしかない
やりたいことの着地点を決めたなら、どうしたらそれで生きていけるかを考えるのは、まず自分自身への責任です。
「給与が安くても図書館で働く」と決めたのなら、稼ぐ手段を他に持たなければなりません。
給料は応募前に分かります。
昇給や賞与がないのもわかっています。
それでも応募したのは自分なのに、「給料が安すぎる」と文句ばかり言って自分からは何もしないのは、単なる責任転嫁か八つ当たり、または、心のどこかで「頑張れば正規にしてもらえる」と期待していた自分への後ろめたさのように思えます。
転職をする
興味があるだけでは安すぎる給与に耐えられる要件にならないと思ったら、思い切って転職しなければなりません。
とにかく正社員であればなんでもいいというのであれば、年齢も経験も関係なく何か受かるはずです。
それでも、出来るだけ早くチャレンジするほうがよいでしょう。
まとめ
東京の図書館で働きたい? 時給を調べた結果がひどい
- 図書館の求人は、最低賃金レベルに抑えられているところが多数
- そういった図書館の仕事だけでは、独立しての生活は厳しい
- 「図書館で働きたい」と思ってやってみるなら、工夫と、あるタイミングでの身の振り方を決める覚悟が必要
非正規であれ司書のような専門職に時給900円なんて、本当にひどい話だと思います。
でも一方で、それに応募する自分の選択にも責任を持たなければなりません。
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