図書館員の新しいキャリアを提案 ZINE専門図書館員




たとえ、ITやデジタル分野の領域が想像を絶する勢いで社会に影響を与えることがなく、これまでのやり方を変える必要がなかったとしても、図書館や情報科学分野が他分野と協力し、新しいキャリアや知識を更新していくのは当たり前のことです。

 

図書館員の新しいキャリアについて考えてみるシリーズ!

 

出版不況に増え続けるもの

 

印刷物の衰退や図書館自体の必要性が問われ、図書館員や印刷業界がそれを危惧しているその真っ只中においても、わたしたちを魅了し続け、目に見える形で増え続けているものがあります。

 

それは、印刷物がまだ最先端で地域社会に根ざしたものであることを再確認させてくれるし、図書館員もまた、利用者に対して新しい方法で手を差し述べたり、情報を提供することを忘れないようにしなければ・・・と考えさせられるものです。

 

そうです。わたしはZINEについて話しています。

 

そして、ZINEと一緒に働く図書館員「ZINEs Librarians」というグループは実際に存在します。

 



 

「ZINE」とは?

 

もしあなたが、世の中に目と心を開き、社会に精通した図書館員であるなら、おそらく既に「ZINE」について知っていると思われますが、ここではそのテーマに精通していない人のために簡単に説明します。

 

ZINEはいたるところから様々なかたちで生まれているので、ひとことに定義するのは難しいのですが、一般的に述べると、

個人または少数の仲間で作り上げる、あるトピックについての「小さな雑誌」

です。

 

ZINEを作る人は、コンテンツを考え、アートワークを作成し、ページレイアウトを行い、最終的にZINEという制作物にすべてのパーツを組み込みます。

 

それは、複写、コラージュ、ホチキス止めかどうかなどのルールはなく、雑誌は未編集の刊行物であり、編集者は編集者でなく、共同作業のグループによって作成された、アート作品ともいえます。

 

コンテンツは完全に個人的なもので、ZINEを作る人は、zinesterと呼ばれます。(まるでyoutuberのよう!)

 

また、その内容は、何かについての情報であることが多く、たとえば「ビーガンのレシピ集」のようなものです。

 

ZINEの手にかかれば、人種、ジェンダー、セクシュアリティに関する問題についてはこれまでのマスメディアでは見られなかった視点を提供してくれます。

1970年代のパンクにルーツがあり、鋭くて無修正なのです!

 

しかし、人々はまだZINEを作っているといえるでしょうか。

 

ZINEは80年代と90年代に全盛期を迎えたのは事実です。

 

そして自己表現のための新しいプラットフォームとしてブログやSNS、youtubeが誕生しました。

 

それでも、それらとZINEは異なるものです。

 

人々はまだZINEのような手のかかるものの美しさに引き付けられるし、デジタル情報の作成と共有が凡庸になるにつれて、自分たちが手作業で残しているものに新たな価値を見出します。

 

設立された出版物の中で、最も確立された「ニューヨークタイムズ」でさえ、ZINE文化が復活の兆しをみせていることを認識しています。

 

ZINE専門図書館員になるためのトレーニング

 

それでは、どのようにしてZINE専門図書館員になる準備ができるでしょうか。

 

最も重要なのは、簡単に参加できるZINE専門図書館員についての情報を共有するZINEライブラリアンのネットワークがあることです。(海外にはあります。

 

あなたが今働いているような、伝統的なこれまでの図書館でZINEを扱おうと考えたら、多くの限りない困難や問題が発生します。

 

そのため、ZINE専門図書館員はクリエイティビティに富んだ新しい時代を作り出す勇気が必要です。

 

2012年、カリフォルニア南部のアナハイムで執り行われたALA(アメリカ図書館協会)主催の定例会でも、ZINEのプレカンファレンスが開催されました。

 

それに参加したZINELibrariansは、ZINE専門図書館員がはじめなければならないすべての基本を提供しました。

 

彼らは「ZINEと図書館は、”地域社会の反映と創造”という共通点がある。」と話し、主に、ZINEコレクションを図書館の管理にどのように投じるかについて話しました。

 

また、ZINEの図書館における管理方法について、

どのようにアーカイブ内で安全性を保つべきか、または閲覧制限なく自由にアクセス可能にされるべきであるかについて議論されました。

 

ZINEの目録作成は、図書館でZINEを扱う場合の最も困難な作業となるでしょう。

 

ZINEをデューイ十進分類法に適合させるのは簡単ではありません。

 

 

あぁ!やっぱり、図書館でこれを行うのは現実的ではないのでしょうか。

 

でも、われわれが図書館員であるなら、情報リテラシーを教えるのは仕事のひとつだし、その情報にZINEも含めないわけにはいきません。

 



 

さいごに

 

ZINEを図書館が扱うことになれば、図書館員がこれまでの常識を破り、教育的で模範的な、整然としたコレクションだけではないものを受け入れる必要があります。

 

しかしそれは、同時に、多くの利用者の関心を集めるでしょう。

 

あなたがすでにzinester(ZINEを作る人)であればZINEについて理解があるでしょうが、わざわざそのためにzinesterになる必要はありません。

 

ZINEに関する記事や書籍はたくさんあります。

 

基本的に、ZINEは、図書館利用者とZINE専門図書館員の両方にとって楽しいことになると想像できます。

 

ZINEは公共図書館や学術図書館のコレクションに、魅力的でユニークな機能を備えることになるでしょう。間違いありません。

 

そして、プレカンファレンスで誰かが言ったように、それらは「人生を変える」ことさえできるのです。

 

あなたの職務内容にZINE専門図書館員を入れてみませんか?

 

 

Kevin Coleman「[Series] Emerging Careers in Librarianship: Zines (Yes, zines!)」(June 28. 2012), hlsーHow would you hack library school ?

[Barnard ZINE library] Columbia University Barnard collage

Jenna Wortham「Raised on the Web, but Liking a Little Ink」(October. 22. 2011), New York Times

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA