図書館で正規職員として働く場合、自治体や学校法人の採用試験を受けて採用されることが必要です。
とても狭く厳しい道ですが、それ以外にパートや派遣などの求人もあります。
しかし、そういった図書館の求人に応募する前に知っておいたほうがいいこともあります。
「知っておいたほうがいい図書館の求人」とはどんなものでしょうか。
免責事項:これより先の投稿は、個人の経験と独自の調査によるものです。
われわれの意見は、図書館および図書館の関連機関、図書館員の意見を代表するものではありません。
すべての批判は建設的であることを意味します。
官製貧困と図書館の非正規雇用
近年、日本の貧困問題が明るみになると同時に、自治体などで薄給で勤務する非正規職員の存在も表沙汰になってきました。
「官製貧困」と呼ばれますが、この官製には当然、公共施設である図書館に勤務する図書館員(司書)も含まれます。
また、私立大学や学校の図書館についても、教育基本法 第八条の公の性質及び学校教育において果たす重要な役割とあることから、ほとんど公共と同じ体質であると考えて、ここでは含めることにします。
図書館の給料が安い理由はいくつかあると思います。
その中のひとつに、
扶養内で勤務したい主婦向けに用意された雇用枠
というのが存在します。
とある大学図書館では、その枠で勤務している人たちをまとめて「パートさん」ではなく「主婦さん」と呼んでいました。
ものすごく違和感がありましたが、その図書館ではまるで普通のことのようでした。(最後に後日談あり)
主婦向けの求人ってどんなもの?
主婦向けに用意された雇用枠というのは、たいてい近距離から勤務してくる人を求めているように思います。
地域貢献の意味合いもあるのかもしれませんが、その辺りのことは詳しくないのでここでは割愛します。
扶養内で勤務したい主婦向けに用意された雇用枠というのは、雇用側(ここでは図書館などの公共または教育機関)と労働者側(ここでは扶養内で勤務したい主婦)のニーズがお互いに一致しているので問題がありません。
実際に、それが本音かどうかはさておき、「暇だから趣味でやらせてもらっているようなもの。」と言っているパートの方もいました。
そういった扶養内で勤務したい主婦向けの求人には、比較的やさしい応募資格が書かれているので分かりやすいといえばわかりやすいです。
また、こういった求人は、新聞に挟まっている地域の求人広告などに掲載されていることもありますね。
- 主婦歓迎
- 未経験者歓迎
- 司書資格の有無問わない
など
しかし、表現方法による差別問題ではっきりと「主婦のみ」とか「女性のみ」などとは書けないので気付かない人もいると思います。
そこに「図書館で働きたい」という思いだけで応募してくる20〜30代の独身の男女が応募してきたらどうでしょうか。
さらに、一人暮らしだったら?
何か理由があって積極的に労働する必要がないなど、特別な場合を除いては貧困に陥りますよね。
そのような人が応募してきた時点で、雇用側が「20〜30代の独身だと、うちの給料では厳しいのではないか。」と考えてくれたり、オーバースキルという理由であえて落としてくれることもあると思います。
しかし「この条件で若くてエネルギーのある人が応募してくれた、ラッキー」となることもあり得るのです。
実際にこの記事を書いているわたしは、当時、司書資格なしで時給900円の派遣司書に採用された時「若い人がよかったから」とはっきり言われたことがあります。
主婦パートのこれから
専業主婦世帯は年々減っていますが、それに比例して「雇用内で働きたい主婦」という存在自体も減っていくでしょう。
そして、最終的にはこのような雇用形態の求人も減ることにはなると思います。(これについて、さいごに追記あり)
参照:厚生労働白書 男女共同参画白書
それでも今はまだ、そういった求人の需要も供給もゼロではありません。
もし、あなたが応募しようと思っている求人が、前述のように「主婦向けに用意された雇用かも?」と感じるなら応募しない方がいいし、途中でそう感じてしまったら、早々に身の振り方を決めた方がよいと思います。
逆にいうと
「図書館で働いてみたいけど、スキルや経験のないわたしに出来るのだろうか?」
と思う側の立場だとしたら、このような図書館の求人は、そんなに敷居の高いものではないということがわかると思います。
さて、先述の「主婦さん」と呼んでいた大学図書館ですが、定年退職を迎えた”主婦さん”の補填としてパート採用の求人を行いました。
しかし”主婦”が集まらず、30代独身の未婚女性が採用されました。
「もう主婦さんと言えないわね」と笑っていた職員の発言が今でも忘れられません。
2012年の話です。
まとめ
図書館の求人 主婦だけにおすすめする求人とは?
- 図書館の求人の中には、扶養内で勤務したい主婦向けに用意された雇用枠がある
- 「主婦歓迎」、「未経験歓迎」、「司書資格の有無問わない」など、比較的やさしい応募資格には注意
- 図書館の求人は、やさしい応募資格=貧困に陥る可能性と表裏一体だと考えたほうがいい
2018年11月追記
直接雇用のパートではなく、パート派遣については、労働法の改正により、扶養内勤務は「日雇い派遣」の扱いになりました。
主婦の場合は、本人または配偶者(などの世帯)の年収が500万以上あるなど、下記の条件のもとでないと応募できません。
- 60歳以上
- 雇用保険の適用を受けない学生
- 年収500万以上ある(副業として働く)
- 世帯収入が500万以上ある
詳細はこちらが分かりやすいです。
コメントを残す