五感を刺激し、思考の旅に出るお手伝い 台湾「世界一美しい本屋」




図書館を目的に旅をするなら、その近辺にある書店もあわせてみておきたいところ。

 

最近は、Amazonなどのネット書店の影響からか、どの書店もいろいろな工夫をしており、ユニークな書店がたくさんみられるようになりました。

 

以前、台湾の首都・台北市にある、台北図書館新北投分館を紹介しましたが、同じく台北にあるおすすめの本屋さんを紹介します。

 

 

異国で本の世界に再会?

 

角田光代さんの短編小説集「さがしもの」の中に『不幸の種』という一篇があります。

 

いろいろなことが上手くいかない主人公の女子大生が、一人旅で訪れた国で占いをする。

そこで「あなたは不幸の種を持っている」と言われる。

 

その原因だと思い当たったのは1冊の本。

 

それを、かつての親友(いろいろあって、そのときは”親友”とは言えない関係になっている)にうっかり預けてしまう。

 

数年後、彼女と偶然再会したとき、2度の離婚を経験していることを知る。

 

主人公は、自分が渡した本(不幸の種)が原因だと胸を痛める。

 

でも、友人は「何もない人生の方がずっと不幸だよ」とまったく気にするそぶりを見せない。

 

このような内容だったと記憶しています。

 

台湾の龍山寺にある莽葛拾遺 MOUNGAR TRACES OF BOOKSという古書店に入ったときに、突如としてこの小説を思い出しました。

 

 

改めて読み返してみると、やはり『不幸の種』の中で、主人公の女子大生が一人旅で訪れた場所が龍山寺だったのです。

 

 

ただ、記憶やイメージが継ぎはぎのようになっていて「さがしもの」の中の別の一篇もまた、この場所のイメージに干渉してきます。

 

『旅する本』です。

 

主人公が、初めて古本屋に売った本と、ネパールのポカラの古本屋で思わぬ再会を果たす物語です。

 

龍山寺という場所が、日本人にとって馴染み深い「寺」がメインに建つ場所でありながら、非常に異国情緒が溢れる不思議な街だから、記憶の中にあるイメージが溢れてきたのかもしれません。

 

それに、そんな異国情緒が溢れる街の中にある古書店に、日本の小説がたくさん並んでいるのです。

 

『旅する本』の主人公のように、誰かが初めて古本屋に売った本が旅をして、巡り巡ってここにあるかもしれませんね。

 

角田光代さんのこの小説は、文庫化で「さがしもの」に改題しましたが、単行本の原題は「この本が、世界に存在することに」です。

 

なにか懐かしいような、どこかで見たことがあるような光景が広がり、本が好きな人の気持ちを再確認できる短編集がつまったこの本は、原題のほうがしっくりきます。

 

莽葛拾遺 MOUNGAR TRACES OF BOOKS
台北市廣州街152巷1號1F
(02)2336-2181、(02)2336-2717
10:00~22:00
年中無休
MRT龍山寺駅から徒歩約3分

 

店名の莽葛は「マンガ」という萬華の台湾語の発音を表し、拾遺には、漏れているものを拾い補うという意味があるそうです。

 

古い歴史を持った物たちを、大切に残して行きたいというオーナー・胡建平さんの思いが込められています。

 

店内には、極わずかの新書をのぞき、中国語や日本語の古本が並べられており、石造りの仏像やアンティーク風の提灯などがインテリアのアクセントとなっています。

 

五感を刺激し思考の旅に出るお手伝いをする「世界一美しい本屋」

 

中国のクリエイティブワークやエンターテイメントの多くは台湾か香港で制作されることが多いのだそうです。

 

台湾は、それぞれの都市が街そのものをクリエイティブに盛り上げようとしているのが、実際にその地に降り立つとよくわかります。

 

中でも華山園区は、メトロ忠孝新生駅を降りたときから緑が多く、アートにあふれた街。

日本統治時代に酒工場として使われていた敷地と建物を再利用し、一大文化施設として生まれ変わったエリアです。

 

カフェ、雑貨屋、シネマ、寿司屋までもがセンス良く並んでいました。

 

樟腦工場の跡地だというレンガ作りの建物が並ぶ区域はまた雰囲気ががらっと変わります。

 

まだ完成していないエリアということで静けさが漂い、レストラン独特のお皿が重なり合う音だけが微かに聞こえました。

 

そこが好様思維 VVG Thinkingです。

好様思維 VVG Thinking

 

1Fがカフェレストラン

 

2Fが本と雑貨のセレクトショップになっています。

 

大きな翼が出迎える吹き抜けはお店のシンボル

 

ブルーのドラム缶をインテリアに、外国の本やレトロな雑貨、こだわりの文房具が並んでいます。

 

 

ずっしりとした洋書、写真集、アート本はもちろん

雑貨も充実しています。

 

ここは、アメリカのサイトFlavorwire.comで、「世界でもっとも美しい書店20」に選ばれた「好様本事 VVG Something」の姉妹店で『好様 VVG』と名のつくお店は、書店だけではなく、カフェやレストランと展開し、台北市内に6店舗あります。

 

オーナーは、有名ブランドのケータリングも手がけるGrace(グレース)さんという女性。

 

グレースさん本人が、日本やヨーロッパに出かけて集めてきたものばかりを並べているのだそうです。

 

店名の「思維」とは、日本語で「考える」という意味で、

五感を刺激し、思考の旅に出るお手伝いをする

そんな場所をイメージしているそうです。

 

英語や台湾の美しい装丁の本が並ぶ中、日本の本があまりにも多く驚きました。

 

全体の4割が日本の書籍とのことです。

 

特に「暮しの手帖」関連の本は日本でも見たことがないものが多々あり、本のデザインがオーナー・グレースさんの好みなのかと思っていたら、「暮らしの手帖」の編集長で、書店経営もする松浦弥太郎さんの友達なのだそうです。

 

可愛いくてユニークな雑貨もたくさんあり、センスと独創性に満ちた空間でした。

 

前述の通り1Fはカフェになっているので、ここで1日過ごせるかもしれません。

 

好様思維 VVG Thinking
台北市八德路一段1号(華山文創園区)紅磚六合院/C棟
(02)2322-5573
12:00~21:00
年中無休
MRT忠孝新生駅 徒歩10分

 

 

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