オックスフォード大学の図書館といえば、映画『ハリー・ポッター』の舞台でおなじみのボドリアン図書館が有名ですが、世界有数の大学都市として知られるオックスフォードには、図書館だけに絞っても見どころが満載です。
「夢見る尖塔の都市」と呼ばれるオックスフォードは、サクソン時代以降のイギリスの、あらゆる建築の歴史とデザインの展示場のようです。
この賑やかで活気に満ちた、審美的に多様な都市にある、美しい10の図書館を紹介します。
ボドリアン図書館
まずは、なんといってもやはりボドリアン図書館。
オックスフォード大学の一機関であるボドリアン図書館は同大学の主要な研究図書館です。
複数の棟で構成されており、ひとことに「ボドリアン図書館」といっても、ひとつの図書館ではなく、見所は随所にあります。
デューク・ハンフリー図書館(Duke Humfrey’s Library)
イギリスのゴシック建築の傑作と言われているボドリアン最古の建物「オールド・ボドリアン」。
その内部には、映画『ハリー・ポッター』の舞台としておなじみのハンフリー図書館があります。
「ハンフリー図書館」の中でさらに、最も古い部分がデューク・ハンフリー図書館です。

Duke Humfrey’s Library, the oldest part of the Bodleian Library, Oxford ©annetgent/Wikicommons
この部分も、『ハリー・ポッター』に登場しています。
ラドクリフ・カメラ(The Radcliffe Camera)
カメラは、ラテン語で「丸天井」を意味するそうです。
現地では「ラッドカム」と呼ばれ、シンボルとして親しまれているオックスフォードの象徴的建造物です。

Radcliffe Square, Oxford, showing Radcliffe Camera (centre) and parts of All Souls College (left) and Brasenose College (right) © Lies Thru A Lens/Wikicommons
オール・ソウルズ・カレッジとブラセノセ・カレッジの間に建つこの周辺は、撮影に訪れる観光客でいつもいっぱいです。(中の図書館には、オックスフォードの会員しか入館できません。)
1749年に医師のジャン・ラドクリフの遺産により「ラドクリフ科学図書館」として誕生しますが、1860年にボドリアン図書館に併合され、この部分をラドクリフ・カメラと改名しました。
テイラー研究所(Taylor Institution)
「テイロリアン(Taylorian)」と呼ばれるテイラー研究所は、ヨーロッパ言語の研究所です。
その図書室には、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、文法理論や言語学の書籍が豊富にあります。
著名な建築家であるロバート・テイラーの遺産として1845年に設立されました。
外観はネオ・クラシックなデザインで、テイラーにちなんで名付けられた読書室のインテリアは、ダークウッド、きめ細かな天井、柔らかな照明の巧みな融合で印象的な雰囲気と美しさを作り出しています。
オール・ソウルズ・カレッジ(All Souls College)
オックスフォード大学の敷地の中心部分にあり、最も富んだカレッジのひとつと言われているカレッジです。
1438年の百年戦争の余波で設立されました。
コドリントン図書館(The Codrington Library)
イギリスの美しい図書館12選にも選出した、古く荘厳で美しい図書館です。
現在のコドリントン図書館は、クライストチャーチの資産家であったクリストファー・コドリントンが自身のコレクションを遺贈した1751年に完成しました。
図書館は現在、印象的な本のコレクションと、バロック様式建築を代表する建築家のひとりニコラス・ホークスムアによって設計された美しく構造化された建築で有名です。

学術的価値と美的価値の両方において、大学に大きく貢献しています。
リンカーン・カレッジ
1427年に当時リンカーンの司教であったリチャード・フレミングによって設立されたカレッジ。
オックスフォード中心部のタール・ストリートに位置しています。
リンカーン・カレッジ・ライブラリー
かつて18世紀のオール・セインツ教会であったリンカーン・カレッジ・ライブラリーは、大学全体、そしておそらくオックスフォード全体の中でも特に印象的な機関のひとつです。
1975年に大学図書館として学生のために改修され、開かれた教会の塔は、オックスフォードの「夢を見る尖塔」にインスピレーションを与えたと思われます。
非常に精巧で綿密な設計は、1700年代の美しい建築の代表例です。
ジーザス・カレッジ (Jesus College)
ジーザスカレッジは街の中心のチュール・ストリート、シップストリート、コーンマーケット・ストリートマーケット・ストリートの間にあります。
フェロー図書館(The Fellows’ Library)
ジーザス・カレッジのフェロー図書館は、1676年から1677年にかけて設立された豪華な図書館です。
この図書館は、ダークウッドの羽目板とアンティークの本棚の組み合わせが非常に魅力的で、そのストラップの一部は1628年のもので、他の図書館から供給されたと言われています。

Jesus College Library, Oxford © Jorge Royan/Wikicommons
ニュートンの 「Principia Mathematica(自然哲学の数学的諸原理)」(1687)や解剖学と生理学に大きな貢献をした英国の医師ウィリアム・ハーベイ(William Harvey)の 「Circulation of Blood」(1628)など、信じられないほど貴重な初版を所蔵しています。
残念ながら時間の経過によって図書館は深刻な荒廃に陥りましたが、図書館のかつての栄光を取り戻すため、相当な労力と資金が注がれています。
マートン・カレッジ
1264年に設立のオックスフォード大学最古のカレッジです。
アッパー・ライブラリー
1373年に設立されたマートンカレッジ図書館は、イングランドで最も古い図書館の1つであり、現在も継続的に使用されている世界最古の学術図書館です。
もともと14世紀に建設された図書館は、16世紀にトーマス・ボドリー自身(ボドリアン図書館の創設者)によって改良およびアップグレードされ、書見台が本棚とベンチに換わり、当時の「革命的な」図書館全体が再編成されたコンチネンタルスタイルです。

One Wing of the Merton College Library © Tom Murphy VII/Wikicommons
これらの改修の痕跡は今でも残っています。
フィッツジェラルドの名作『グレート・ギャツビー』の中で、謎のジェイ・ギャツビーが「自分はオックスフォード・マン」であると主張し、この図書館についても言及していたように、建築、学術、歴史のみならず文学的な関心の対象となっています。
クイーンズ・カレッジ(The Queen’s College)
クイーンズ・カレッジは、1341年にロバート・デ・エグレスフィールドによって、フィノーパ女王のハイノーを称えて設立されました。
主に新古典主義の建築が特徴的です。
アッパー・ライブラリー(The Upper Library)
世界で最も美しい読書室(reading rooms)として、様々なランキングの常連です。
とても美しく、ボドリアンと並んで大学の大きな誇りであるクイーンズ・カレッジの上層にあります。

© The Queen’s College
図書館は18世紀末建築の素晴らしい例です。
興味深いことに、図書館の下にある開いた回廊が現在の下部図書館に変わり、現在ではほとんどの貸出図書がそこに収容されています。
優れた美しさの図書館であるだけでなく、驚くほど多くの主題と多様性を誇る100,000冊のボリュームを持つコレクションであり、貴重なコレクションを持っていることでも高い評価を得ています。
セント・エドマンド・ホール・ライブラリ(St Edmund Hall’s Library)
セント・エドマンド・ホールの趣のある図書館は、オックスフォード市で最も古い教会の1つにあります。

St Edmund Hall, Oxford ©simononly/WIkicommons
セント・ピーター・イン・ザ・イーストの12世紀の教会の中にあり、教会自体は今では運営されていないにも関わらず図書館は地下室に隣接する場所にあり、そこはわくわくと恐怖など、対立する感情を生み出すような不思議な特徴で利用者を惹きつけています。

©️St.Edmund Hall
中世のデザインと建築の完璧なモデルであるセント・エドマンド・ホール・ライブラリは、大学全体のイメージに非常によく適していながら、風変わりで美的にも楽しい雰囲気を携えています。
St Edmund HallーUniversity of Oxford
セント・ピーターズ・カレッジ(St Peter’s College)
1929年設立とオックスフォード大学の中では比較的新しいカレッジで、ショッピングモールやファストフード店、ファストファッションが立ち並ぶニューインホールストリートにあります。
オックスフォード・ユニオン・ライブラリー
オックスフォードユニオンは、1823年に設立された英国で最も古い大学連合の1つであり、世界で最も権威のある私立学生団体の1つです。
図書館は美しい装飾が施された内装に、総合的な範囲の蔵書で最も人気のある貸出図書館の一つとなっています。

Oxford Union © The Oxford Union Library
図書館全体はラファエル前派のデザインですが、1857年から1859年までの若いアーティストのグループ(有名なダンテ・ガブリエル・ロセッティ、エドワード・バーン・ジョーンズが含まれる)によって作成された壁画が最も有名です。
また、ウィリアム・モリスが1875年に最後の天井の修正デザインも担当しました。これらの壁画は、アーサー王物語などが描かれており、観光客や学生から広く称賛されています。
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