図書館を使って銀行強盗に成功?!現代版 ボニー&クライドとは




図書館を使えば何でもできます。

 

しかし、良い行動のために使いましょう。

 

 

図書館を使って「銀行強盗を成功させる方法」を研究し、実際に実行、成功を重ねていた男が逮捕されました。

 

逮捕されたのは、連続銀行強盗などの容疑で米連邦捜査局(FBI)に国際指名手配されていた、クレイグ・プリチャート(当時40)とノヴァ・ガスリー(当時30)の米国人カップルです。

 

6年の逃亡生活の果てに、逃亡先の南アフリカ共和国のケープタウンで逮捕されました。

 

テキサス、アリゾナ、ニューメキシコ、コロラドの4州で銀行強盗を重ねていたこのカップルは、大恐慌時代に犯罪を重ねながら逃避行を続け、映画「俺たちに明日はない」のモデルにもなった伝説のカップル、ボニー&クライドの現代版と呼ばれていました。

 

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図書館で銀行に関する資料を徹底的に調査

 

クレイグ&ノヴァのカップルは、最初からふたりで銀行強盗をやっていたわけではありません。

最初に強盗に手を染めたのはクレイグです。

 

彼は高校時代からの恋人と結婚し3人の子どもを授かるなど平凡な家庭を築いていましたが、ある日、あまりに自分の人生が退屈だと感じるようになります。

 

裕福な家庭で生まれ育ったことも影響したのか、簡単に大金を手に入れたいと考え銀行強盗を企てます。

 

クレイグの妻は銀行員だったため、仕事中の妻に会うという名目で彼女が勤める銀行に赴き、1日中銀行の動きを観察します。

 

慎重なクレイグはさらに図書館に行き、銀行に関する資料、過去の銀行強盗事件の新聞記事などを徹底的に調べ、周到に準備を進めます。

 

 

そして実行に移し、何件かの強盗を成功させますが、あるときうっかり窓口の台に手を乗せたことから指紋を残してしまい、逮捕されます。

 

1992年に逮捕されたプリチャートは5年間アリゾナの刑務所に服役します。

 

しかし、この5年間を無駄にしたくないと考えたクレイグは、刑務所でも新聞や本を読みこみ、今度は株の勉強をします。

 

出所後、トレードのための元金を稼ごうとまじめに働くクレイグでしたが、離婚した妻が引き取った3人の子どもの養育費や銀行強盗の罰金などでほとんど手元に残らず、再び銀行強盗をはたらくことを考えはじめます。

 

今度は絶対に捕まりたくないと考えたクレイグは、頭の良い相棒が欲しいと考えます。

 

美しく聡明な相棒との出会い

 

1997年(出所したその年)、クレイグはバーで顔馴染みとなったジェラルドという男から妹を紹介されます。

それが、ノヴァ・ガスリーでした。

 

ノヴァはとても社交的で笑顔が素敵な女性で、クレイグはすぐに彼女を気に入ります。

 

コロラド州ブーンの片田舎で機械工の父親と学校教師の母親のもと8人兄弟の末っ子として育ったノヴァは、テレビをみることや公の場でショートパンツを履くことを禁止されるなど厳しく育てられ、学校ではオールAの優秀な学生でした。

 

勤勉なノヴァは、1994年にアイオワ州スーシティのモーニングサイドカレッジを医学生として卒業し、一般開業医または小児科医になるつもりで、今まで真剣に付き合ったボーイフレンドはいませんでした。

 

クレイグはノヴァと話をするうちに、頭の回転が早く、どこか刺激を求めている彼女に銀行強盗の相棒としての素質を感じるようになります。

 

一方のノヴァもクレイグの計画に好奇心を抱きます。

 

ふたりは犯行前に念入りに下調べをした上で、銀行の始業・終業時間を狙って強盗に入ります。

 

中に入るクレイグと車で待機しているガスリーは双方向無線で連絡を取り、不審な点があると実行は中止、問題がなければ金庫室に入って金を奪い、行員らを縛って逃走する手口で何度も強盗を成功させます。

 

銀行強盗のあとは必ず服などを燃やし、車を捨て、証拠隠滅も徹底していました。

 

クレイグとノヴァは盗んだお金を使って、カナダのブリティッシュコロンビア州のマウントバチェラーで1ヶ月スキーをし、ベリーズで冬を過ごし、熱帯地方でスキューバダイビング、リゾート地から他のリゾート地へとバカンスを楽しみ、株に投資したりと盗んだお金を存分に使って楽しんでいました。

 

1997年から1999年の2年の間に、ふたりはアリゾナ州、コロラド州、テキサス州、ニューメキシコ州、ワシントン州およびオレゴン州を連続強盗し50万ドル以上を手にしたとされています。

 

銀行強盗はすべてうまくいっていましたが、ある時、強盗に入られた銀行の窓口の女性が、犯人が無線で女性とやり取りをしていることに気がつき、犯行は男女のカップルであることが警察に知れます。

 

同じ頃、ノヴァに罪悪感が芽生えはじめ、ノヴァの兄弟たちの説得により彼女は自首、FBIに協力することに同意して今までの犯罪を告白したのです。

 

FBIは彼女と司法取引をして、クレイグをあぶり出し逮捕したかったのですが、ノヴァは考えを覆し、ふたたびクレイグと行動を共にするようになります。

 

クレイグとノヴァは2000年10月に偽名のデーンとアンディ・ブラウンという名前で南アフリカのケープタウンで暮らし始めます。

 

そこでは犯罪を犯すことなく、ノヴァは高級ナイトクラブのバックオフィスで働き、クレイグはデイトレードをして生活していました。

 

そんな平穏な生活をしていたふたりでしたが、南アフリカ住んでいる人がアメリカ旅行中にノヴァの国際指名手配のポスターに気付き警察連絡、情報を元にFBI捜査官は地元の警察と協力し2003年8月に逮捕します。

 

「現代版 ボニー&クライド」の情けない最後

 

現代のボニー&クライドと呼ばれた「クレイグ&ノヴァ」。

 

しかし、数え切れないほど多くの強盗を犯し、最後はハチの巣のようになるまで撃たれて劇的な終わり方をし、英雄視される声も多かったボニー&クライドとは異なり、クレイグとノヴァ静かに降伏します。

 

警察がケープタウンの一角にある906号室のドアを開けたとき、6年間も追われ世間を騒がせた指名手配犯は、呑気にテレビをみていたといいます。

 

クレイグは22年半の禁固刑、ノヴァは10年の禁固刑、さらに231,000ドルの支払いを命じられました。

 

現在、刑期を終えたノヴァは、ヨガインストラクターとしてコスタリカで生活しているようです。

 

図書館を使えばなんでも出来るけど・・・

 

クレイグのストーリーから分かるのは、

図書館を使えば銀行強盗さえ上手くできる

ということでしょうか。

 

きちんと調べて勉強すれば、ひとつぐらい何かを達成することは出来るし、図書館はそのために手助けしてくれるというよい例ではありますが、何事も良いこと(少なくとも犯罪ではないこと)に使わなければ無意味です。

 

クレイグは、類まれな用意周到さと調査力を持っており、それを善い行いや”きちんとした”仕事”に活かせば、別の何かを達成できただろうと思わされます。

 

まさに、儲けるは”欲”で儲かるは”道”。

 

スリルと欲を求めた結果、その才能をどこかに繋がる道にできなかったことは非常に残念です。

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