図書館でW杯を観戦? 図書館でパブリックビューイングの是非




山口県周南市の徳山駅前図書館が、6月19日のFIFAワールドカップロシア大会の日本対コロンビア戦のパブリックビューイングを行なったことがニュースになっていました。

 

書架や閲覧スペースを設ける図書館内ではなく、2階のインフォメーションスペースで開催したということです。

 

主催したのは、「周南市徳山駅前賑わい交流施設」。

 

今年2月の図書館開館以来、初開催となったパブリックビューイングに、仕事帰りのサラリーマンや熱狂的なサッカーファンなど約250人が駆け付けたそうです。

 

会場では、地域活性化グループ「ツナカン(周南市まちを繋げ感動・感謝を広げる会)」などがビールやおつまみなどの販売ブースも出店したといいます。

 

 

図書館でパブリックビューイングはありなのか?

その是非について見てみましょう。

 

徳山駅前図書館とは?

 

2018年2月、周南市が、JR徳山駅に隣接する形で、周南市徳山駅前賑わい交流施設の核施設として図書館が開館しました。

 

周南市徳山駅前賑わい交流施設と共に指定管理者制度が導入されており、指定管理者は、武雄市図書館(通称・ツタヤ図書館)の運営で話題となった、蔦屋を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)です。

 

てっきり、周南市出身の選手がいるのかと思いましたが、そういうわけではなさそうです。

 



 

4年前のW杯ブラジル大会は武雄市図書館で

 

4年前には、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が初めて指定管理者として運営を開始した武雄市図書館がW杯ブラジル大会のパブリックビューイングを行い話題となりましたが、図書館の書架スペースを使い、大型テレビ3台を使って行われたことに、否定的な意見も寄せられました。

 



 

そして武雄市もまた、当地出身の選手がいたわけでもなさそうです(^^;

 

図書館でパブリックビューイングの是非

 

図書館でパブリックビューイングを行うこと自体は、公共図書館の理念に大きく反しているわけではありません。

 

 なお、パブリックビューイングイベントの開催については、非商業イベントでも申請やライセンス料の支払いが必要となります。

 

図書館で大きな音はありなのか

 

よくある懸念として、静かな場所であるはずの図書館で、大きな音を出すのはどうなのかという声がありますが、

 

図書館に市民の知的活動を支援するという目的がある以上、グループでのコミュニティ活動やイベントを行うことも公共図書館のサービスのひとつとなります。

 

また、ネットや有料メディアなど、情報アクセスへの格差解消も図書館の役割のひとつとして存在します。

 

そのために視聴覚ルームや映像視聴用のメディアホールのような施設を設けているはずなので、そこを利用するのが一般的であると考えられます。

 

ですから、4年前の武雄市図書館のように、文芸書コーナーの書架の前にテレビを置いて、仕切りを設けずにパブリックビューイングを実施したのが、図書館の通常営業時間帯であれば言語道断で、批判がでることのほうがむしろ正常だと思えます。

 

有料メディアの提供が本当に図書館の役割なのか?

については、アメリカでのこんな例があります。

 

公共図書館 ケーブルテレビのスポーツ観戦視聴サービスに終止符を打つ

 

米・カンザス州のトピカ州ショウニー郡公共図書館が、メディアルームでのケーブルテレビの視聴を中止。

 

同館で地元の野球球団カンザスシティーロイヤルズの試合を仲間と視聴してきたトム・シャドイン氏が請願を行なう予定であることが、2016年5月7日付けの地元紙「トピカ州新聞(Topeka capital journal)」で報じられた。

 

2014年の住民調査での「図書館は識字率の向上、生涯学習、地域社会の支援に焦点を当ててほしい」との回答を受けて解約することになったという館側の説明に対し、シャドイン氏は、図書館が実施している美術や工芸のワークショップや古典映画の上映等が認められるのであれば情報センターである図書館で、ニュースを伝えるケーブルテレビの視聴も認めないのは二重規範であると主張

 

同館の館長であるジーナ・ミルサップ氏は、メディアルームでのケーブルテレビの視聴が少ない現状や、多くの番組があり住民各々で好みが分かれるなかで提供することの難しさをあげる一方、作業を開始している同館の新しい施設計画においてケーブルテレビを視聴できる場所が除外されていないことが報じられています。

 

Library’s cord cutting puts end to unofficial sports viewing events, spurs petition」cjonline.com(2016/5/7)

 

地域の情報拠点であり、地域活性支援のひとつ

 

公共図書館というのは、その地域の情報拠点となります。

 

ですから、図書館が地域をあげて盛り上げたり支援したいと思うことに対してパブリックビューイングを行うのであれば、それは是非も何も、図書館の役割として普通のことです。

 

むしろ、郷土愛があればあるほど、積極的に行いたいものだと思います。

 

例えばサッカーでいうと、J1のジェフユナイテッド市原・千葉などは、チーム拠点の千葉県市原市にある市原図書館で、選手が読み聞かせを実施したりしています。

 

これは、千葉県市原市による地域活性支援のひとつだと考えられます。

 

パブリックビューイングでいうと、今年(2018年)3月の春の選抜甲子園で、佐賀県立伊万里高等学校が、春・夏合わせてはじめて甲子園に出場が決まりました。

 

そのため、「地域一体となって同校を応援しましょう。」ということで、市民図書館内のホールで、パブリックビューイングを実施しました。

 

また、この日は市民図書館の休館日でしたが、図書館は臨時開館にし「ただし、資料の閲覧や貸し出しなどは行いませんのでご注意ください。」と事前に広報しています。

 

また、海外の例でいうと、2008年夏季オリンピックが開催された北京市の公共図書館・首都図書館では、パラリンピック終了までの期間、9時から17時までオリンピック閲覧室にて各競技のパブリック・ビューイングを行いました。

 

この例でいうと、北京オリンピック開催地に決定した北京市が、市の首都(中央)図書館で実施しており、しかも「オリンピック閲覧室」をきちんと設けています。

 

しかし、今回のW杯は周南市どころか、山口県出身の選手がいるわけではなく、前回でいうとこれもまた武雄市にゆかりのある何かがあったわけでもなく、誰の何のためのPVなのかという、懸念というよりは疑問があるのは確かです。

 



 

まとめ

 

図書館でW杯を観戦? 図書館でパブリックビューイングの是非

 

まとめ
  • 図書館でパブリックビューイングを行うことは、公共図書館の理念に大きく反しているわけではない。
  • 視聴覚ルームや映像視聴用のメディアホールのような施設で実施するのが一般的
  • 大抵は、その図書館に関係するものや地域を挙げて応援するものに対して行う

 

以前も書きましたが、図書館は多くの人に開かれている場所だからこそ、自分のためだけの場所じゃないということを、利用する個人も、運営する図書館側も心に留めておきたいですね。

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