『耳をすませば』 雫のお父さんは司書ではない?本業は何?




図書館が舞台のひとつとして描かれたジブリ作品『耳をすませば』。

 

 

映画の中には、主人公・雫(しずく)のお父さんが図書館で働いているシーンが登場します。

 

 

雫のお父さんは、市立図書館(原作では県立)で働く司書です。

同時に、郷土史家でもあります。

 

どちらが本業なのかはわかりません。

 

今日は雫のお父さんのように、図書館で働く司書でありながら、郷土史家でもあるってどういうことなのか?

両立は可能なの?

そもそも、郷土史家ってどんな職業なの?

 

というのをみていきましょう。

 

『耳をすませば』雫のお父さんについて

 

『耳をすませば』は、1995年7月15日に公開されたジブリ映画です。

 

原作は、少女漫画雑誌「りぼん」で連載されていた同名の作品で、1990年にコミックス化されています。

 

中学3年生の、進路に悩む月島雫と、夢を追いかける天沢聖司の甘酸っぱい青春を描いたスタジオジブリの名作です。

 

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主人公は、読書が大好きな月島雫。

父が勤める図書館に足しげく通い、さまざまな本を読んでいます。

 



 

天沢聖司との出会いをきっかけに、雫は、高校受験を控えた大事な時期に小説を書くことに夢中になり、一気に成績が下がり始めます。

 

家族みんなが心配しますが、お父さんだけは、雫の夢を理解し「やってみなさい」と応援します。

 

これは、本や文章を書くことが大好きな雫が、司書と郷土史家である自分の血を引いていると感じたからかもしれませんね。

 

 

雫の父のもうひとつの職業「郷土史家」とは?

 

郷土史家とは、ある地方の歴史を調査・研究し、それを本にしたり、講演などで後世に伝える人のことを言います。

 

市町村史編纂の時に動員されたり、市町村の文化財保護委員などになって文化財に対する諮問をしたりもします。

 

研究者として郷土研究所、民族資料館、文化財保護関連などに務める専門家もいますが、そのような職業につけるのはほんの一部の人だけだといいます。

 

実際に国内で、「地名辞典」や「教育委員会資料」、「郷土史」などを執筆している郷土史家の9割は、小学校教諭、中学高校の歴史の教員、退職した元教員なのだそうです。

 

教師の仕事の片手間に古文書をみたり、近隣の遺跡で土器を拾ったり、城跡や石碑や地名の由来などを調べたりしています。

 

また、歴史や文化財とは関係ない職業を持った歴史愛好家で「郷土史家」を自称する人もいます。

 

そのため、郷土史家とは、一般的に職業ではなく、肩書や自称に近いものだと考えられています。

 

ただ、たとえ”自称”郷土史家だとしても、地元の歴史や考古学研究会に登録したり、積極的に活動しており、史家同士のネットワークはあるのだと考えられます。

 

県や市の博物館学芸員や文化財担当職員、大学に属する教授など、実際に「郷土史」を職業としている人もいますが、そういった人は郷土史家とは言わずに仕事上の「学芸員」や「大学教授」などの肩書を使うそうです。

 

ですから雫の父も、本業は市立図書館の司書(職員)であり、その延長で「郷土史」の研究を続けているのかもしれませんね。

 

ただ、それらがはっきりとわかる描写はなく、実は非正規図書館員で、郷土史家が本業なのかもしれませんし、郷土史の研究を趣味としながら図書館で非常勤で働いている可能性もあります。

 

雫の後ろで史料と向き合う父の姿がみえる。(スタジオジブリ『耳をすませば』より)

 

雫の父のように郷土史家になりたかったら

 

郷土史含め、歴史を研究するために必要な資格というものはありませんが、学芸員をめざすのなら、学芸員資格が必要です。

 

学芸員資格は、4年制大学で必要単位を取ることで取得できます。

学芸員資格認定試験を受験するという方法もあります。

 

大学にそういった課程がない場合などは、資格をとるために必要な単位を通信制大学や科目履修で取得することで、学芸員資格認定試験をうけなくても取得できます。

 

また、雫の父のように図書館で働きながら郷土史研究をやりたいなら、この場合も大学で司書資格を取得しておいた方がいいでしょう。

 

司書資格に関しては、都道府県や市町村の司書資格が必須ではない職員採用試験で採用され、図書館に配属される道もあります。

 

先に職員になって、あとで資格を取ることもできます。

 

それでも最近は、図書館は司書枠の採用試験を設けている自治体が多いので大学に司書課程があるならとっておいて間違いはないと思います。

 

学芸員も司書も、資格を取得するだけなら難しくはないですが、実際に正規職員として採用されるのは非常に狭き門です。

 

大学研究者を目指すのならば、大学院の修士課程を修了していたほうがいいでしょう。

 

研究者を目指すなら、普通は博士課程に進学しますが、運がいい人は、在学中に職を見つけて中退して就職し、あとで、博士論文を提出して、博士号を取得する道もあります。

 

学芸員も大学の研究者も採用自体がとても少なく、そのため中高の歴史教員をしながら、自分の専門分野の研究も進めるというのが、安定して好きな研究を進められ、堅実なのかもしれません。

 

郷土史家を目指して大学に入学したとしても、教員資格は取っておいたほうがいいのかもしれません。

 



 

まとめ

 

『耳をすませば』 雫のお父さんは司書ではない?本業は何?

 

まとめ
  • 雫のお父さんは司書であり郷土史家
  • 司書と郷土史家、どちらが本業なのかはわからない
  • 郷土史家を職業とすることは難しい

 

このように、歴史を仕事にして食べていくのは難しいことです。

 

数年前、国立大学から文学部がなくなるかもしれないと話題になりましたが、このように職業に結びつきにくい面があるからだといわれています。

 

しかし一方で、以前こちらの記事でも書いたように

文学の教養や知識は即戦力ではありませんが、時代を超えて、ときには大いに役立ちます。

 

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自分が生きている間ではなく、ずっと後世になってから自分が研究してきたことが何かを救ったり何かの役に立つことがあるのが、人文科学の研究です。

 

そして何より、職業につながる・つながらないなど打算的な考えではなく、好きと興味を追求してきた人が郷土の歴史を研究してくれるのであれば、それはその郷土にとっては本望だと思います。

 

郷土の歴史を研究し、それらを保存・提供する役割を持つ図書館に勤務する雫のお父さんは、とてもかっこいいですね。

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